初めまして!

みなさん初めまして。FACTの有泉です。普段はロックとダンスミュージックの大海に溺れながら、転がるようにMUSICAという月刊音楽誌を作っています。
FACTは鹿野も含めて7人の小さな出版社で、なので時々「メモリアルブック制作は社外の人間でやるの?」なんてことも訊かれたりしますが、いやいや、この7人で突撃しますよ! WESSのみなさん、そしてこの本のデザインを担当してくれる村岡さん(MUSICAのアートディレクターでもあります)と共に、10周年を祝うにふさわしい素敵な本を完成させたいと一同気合十分です! 頑張りますので、みなさんどうか熱い眼差しで見守ってくださいませ。どうぞよろしくお願いします!

私にとってのRSR名シーンは毎年2日目のAM 4時から5時前の1時間弱、「夜が明ける直前のひと時」です。もちろん忘れられないライヴもたくさんありますが、やっぱりあの、漆黒の闇が少しずつ解けて空気の色が淡い色を帯びて行き、会場のいろんな場所で音楽とオーディエンスがラストスパートのごとく輝きを放ち始める時間は本当にたまりません。普通、オールナイトのフェスやパーティーでもピークタイムは深夜(たとえば2〜3時とか)に設定されていて、だから明け方ってちょっと気怠いというか、エネルギーが静かに収縮して行くのを心地よい疲労感の中で見守る感覚なんですが、RSRの場合は逆。夜が明ける時がピークタイムになるような組み上げ方をしてるから、それぞれに疲労は抱えてるかもしれないけど、でも会場全体のエネルギーは最後の爆発の瞬間にめがけて膨らんで行く感じなんですよね。それと真っ暗闇に塗り固められていた夜空が少しずつ少しずつ光を帯びて行く感じが相まって……あの時間帯は本当に、ふと胸がいっぱいになって沈黙してしまうくらい素敵です。他のフェスにはない、RSRならではの特別な瞬間だと思います。

RSRでいつも痛感するのは、作り手であるWESSとオーディエンス、双方のロックとロックフェスティバルに対する愛情の大きさです。あれだけ広大なフィールドのどこにいても常に感じられる温かでピースフルで音楽に対する愛に満ちた空気は、意図的に作ろうと思って作れるものじゃない、宝物みたいなRSRの結晶ですよね。
メモリアルブックも、あの現場の幸福感をそのまま真空バックにした本にしたいと思っています。今週からいよいよ細かな制作ドキュメントを綴って行きますので、どうぞお楽しみに!

FACT / MUSICA 有泉智子